展示会における接遇は、意匠デザインや動線、商品やサービスの見せ方と同様に重要です。しかし、来場者接遇については明確なルールがないケースが多く見受けられます。
ここでは、展示会接遇の基本対応方法と必要な事前準備についてご紹介します。
事前情報の整理
見本市が新設でない限り、過去の見本市情報(例:開催日別の来場者数や来場者の役職区分)は大半が開示されています。この情報は最低限、接遇チーム間で共有し、展示会対応に臨むことが望まれます。また、出展者情報も把握し、近隣の競合他社や潜在顧客となり得る企業が同一展示会に出展しているかどうかについての情報も収集する必要があります。
展示会対応時の服装
見本市には多くの企業が出展しています。
来場者か出展者かの区別がつかないことが、ブース内では頻繁に発生します。
特に、来場証と出展者証に明確な差異がない場合は、一層の注意が必要です。
せっかくブースを訪れていただいた見込客に対しても、誰に何を尋ねれば良いかわからない状況では、ビジネスチャンスの損失を招く可能性があります。
このような機会損失を防ぐためには、社名や商品名入りのユニフォーム着用や担当役割プレートの掲示などの工夫が効果的です。また、コンパニオン等を起用する場合も、その役割を明確化する必要があります。
声掛け
ブース導入時
意匠や展示内容のみで来場いただける来訪者は一定数存在しますが、声掛けを実施することにより、来場者数が確実に増加することが確認されています。社員対応等の場合、どの出展者に対してどのように声掛けするかを事前に決定しておく必要があります。「どうぞ、ご入場ください」といった一般的な声掛けを全員に行うケースが多く見受けられますが、それでも何も声掛けをしないよりは効果があります。
ブース内への入場後(来場証と視線確認)
来場者の目的を事前に予測し、それぞれの目的に応じた対応策を準備することで、接遇の質を向上させることができます。また、接客対応人員が不足する場合にも対応できるよう、あらかじめ対策を講じておくことが望ましいです。
a.自社商品に興味のある来場者
- 商品やサービスを注意深く見ている
- ブース内の滞在時間が一定以上ある
※まず、ブース内で興味を示した顧客に声をかける
- 新規導入を検討している
- 既存の商品を新しいものに差し替えたい
- 導入済みだが他の商品との差異を確認したい
b.状況が判別できない来場者への仮説
- 偶然通りかかり、興味を持って立ち寄った
- 会社からの指示で視察および情報収集に来た担当者
- 同業他社による市場調査の一環としての来場者
- 展示会関連業者からの営業アプローチとしての訪問者
- その他の理由による来場者
※状況が判別しづらい来場者の中には、一定数の見込みの高い潜在顧客が存在する可能性があります。
これを取りこぼさないためには、事前の準備が重要となります。
来場顧客の見込み分類とその対応方法
分類1 見込みがある、またはありそうな顧客
●情報収集と顧客判別のためのヒアリングを型化する
声掛け → 来場 → 情報収集 → 興味度の確認
●情報を提供してくれる来場者と、あまり情報を共有しない来場者
商談の締め方を決め、それに挑戦する
●全く関心がない来場者は判別可能なので、少しでも興味を示した来場者へのアプローチが重要
事前準備が成果に大きく影響する
オンライン商談に進むためのアポイント(目的を明確に)
リアル商談のアポイント取得など
分類2 興味があるか判別できない来場者
真意を探るための質問手法
来場者が何に関心を持っているかによって、適切な質問内容を予め準備しておく必要があります。
- 「資料を送付します」のアプローチは、単なる送付ではほとんど成果に繋がらないことが多い
- アンケートやノベルティの活用方法も検討
- 雑談用の話題を準備し、経験の少ないスタッフでも話しかけられるようにする
展示会での顧客対応
展示会では接遇対応人数が限られているため、顧客とのトーク情報収集を型化し、一定時間内に顧客の関心度を判断できるようにすることが重要です。
接客・接遇の基本である身だしなみ、挨拶、清潔感、笑顔については今回触れておりませんが、これらは型化対応方法に先立つ最も重要な要素です。しかしながら、これが徹底されていない出展者が多く見受けられるのも事実です。
もちろん、見本市の種類や出展目的によっては、上記が必ずしも適用されない場合もあります。パンフレットやノベルティ、名刺の獲得、およびアンケートの取得に注力したものの、成果につながらずお悩みのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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